2009年モデル総評
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2009年度を終えて
2009年度のビデオカメラ業界で順位をつけるとするとソニー→ビクター→パナソニック→キャノンとなっていたと思います。特にソニーのXRシリーズ(HDDタイプ)とCXシリーズ(フラッシュメモリータイプ)が業界を牽引したように思えた。
2009年のキーポイントは、手ぶれ補正と暗い所での映像であったと思います。この2点で他を寄せ付けない強さを見せ付けたのがソニーであり、この2点の優位性を持って市場を形成したように思いました。ではHDDタイプ・フラッシュメモリータイプ各々の観点から結果を見ていきたいと思います。(各機種の詳細の情報は、各ページを参照ください)
ハイビジョン HDD型
2009年は、上半期がHDDタイプ下半期は、フラッシュメモリータイプが主体であった。これは各々のメーカーからそれぞれ前半にHDDタイプが発売され、下半期にフラッシュメモリータイプを発売したからに他ならない。
冒頭にもソニーが市場を牽引したと書いたがソニーのHDDタイプであるXRシリーズが当初より人気・実力があったように思える。それは、上半期では、手ぶれ補正・暗所性能で他から一段群を抜いていたからである。しかしその中で健闘したのがビクターのGZ-HD300であろう。ビクターは、ハイビジョンHDDの先駆者である強みと「小さい・使いやすい」を前面に出し、女性をメインターゲットに据えた戦略で年間を通じて販売され続けた唯一の商品であろう。
これは、ソニーのXRシリーズが「重くて大きくて操作が複雑」なのに対し「軽くて小さくて使いやすい」という間逆の性能であったからである。他社が120GBをメイン機種に据えたのに対し、60GBをメイン機種にすえ、女性を意識した色展開を試みた独自性を打ち出したのが功を奏したように思われる。
残念だったのがパナソニックのHS300である。なぜかというとこの機種は、ソニーのXR500とビクターのHD300の中間であったため競争力が弱かった。再三書いたようにソニーが手ぶれ補正・暗所に強いカメラと言うことで市場を作り上げてしまい、この性能では、XR500には勝てない。それだけでなく大きさもソニーのXR500とほぼ同じであり、大きさ・使いやすさでは、HD300に勝てない。
キャノンは、HDDタイプを発売していない為、必然的に性能を求めるならソニー、使い安さと大きさを求めるならビクターに流れてしまう。HDDタイプの2009年はまずこんな状況であったのではないだろうか。しかしソニーは、秋モデルにフラッシュメモリータイプであるCXシリーズを発売したため、それ以後は全くとっていいほどXRシリーズの勢いは、失速してしまった。そんな中、年間を通じて一定の水準で販売し続けたビクターのHD300は、結果的に年間で見るとHDDタイプで一番販売されたのではないかと思えるほどの健闘を見せたと思う。
ハイビジョン フラッシュメモリー型
フラッシュメモリー型は、上半期では振るわなかった。キャノンのiVIS HF20・HFS10とパナソニックのHDC-TM300が発売されていたが各々記録容量が32GB(DVDの最高画質で約4時間)と少なく、心細さもあって上半期は、HDDタイプ主体であった。
しかし下半期になると状況が一変した。ソニーがXRシリーズの性能に手ぶれ補正をさらに強化し、大きさもXRシリーズの約半分にし本格参入したためである。それと同時に各社内蔵メモリーを64GBと倍にしたのも功を奏した。HDDタイプで60GBのビクターHD300が好調に販売されていたから市場も64GBあれば十分という気持ちになったのである。
もう言うまでもないがソニーのフラッシュメモリータイプであるCX500・520が当初より他社から1歩抜き出たように思えた。しかしここでソニーのライバルとして猛追し始めたのがビクターであった。ビクターは、同時期フラッシュメモリータイプとしてGZ-HM400を発売したのだが他社が64GBの記録容量だったのに対し32GBで記録時間では劣っていた。
しかしそれをカバーしたのが映像の美しさであった。HDDタイプでは、コンパクトにまとめて女性をメインターゲットにしたのに対し、今度は、ビデオカメラ業界では、最大である1/2.33 型 CMOS センサー(センサーと画像の関係はこちら)と口径46ミリの大きなレンズを装備して映像の質では他社を圧倒し、かつカンタンな操作性を併せ持たせたことで映像にこだわるお父さん・カンタンに撮りたいお母さんに配慮することでファミリー層をターゲットにしたのである。
当初は、ソニーの一人勝ちの様相であったがHM400の映像の良さが市場に浸透し始めるとソニーをビクターが逆転した感も合ったように思えた。他社を圧倒するCMOSセンサー・レンズを大きくしたことにより、光量が十分とれる屋外は当然のこと、光量の少ない室内・夜間もノイズの少ない、高い映像表現を維持することができたのである。
下半期で一番残念だったのは、キャノンであった。フラッシュメモリータイプを上半期、下半期通じてメイン機種としていたのに対して上・下半期の違いがメモリーの倍増くらいのモデルチェンジで終わってしまった。ピントの速さ、画像のキレイさは、定評があるのでなおさら残念である。今まで圧倒的な描写力を誇ってきたiVIS HFSシリーズだったが同等クラスで価格が数万円安いHM400をビクターが発売してしまったため、HFSを購入したでであろうユーザーがビクターのHM400に流れてしまった印象を強く受けた。
パナソニックもHDC-TM350を発売していたが前機種であるTM300と比べると違いが内蔵メモリーの倍増に終わっていてキャノンと同じ理由でソニー・ビクターと比べると商品力に大きな差があったように思えパナソニックを購入したであろうユーザーがソニー・ビクターに流れてしまった。
2009年モデル総評
2009年はソニーとビクターで市場を2分した1年であったように思えた。大きな市場を自ら形成してその市場を維持し続け横綱相撲で1年を締めくくったソニーと、ターゲットをはっきりと決めてターゲットに対して十分な満足感を与えることでその周辺にいるユーザーをも取り込んで独自の販売市場を広げたビクターというところであろうか。
管理人は、どこのメーカーが良い悪いと論じることはしないが当初からソニーの一人勝ちで業界としてはつまらない1年なのかなと思っていたのでビクターの健闘には、うれしさを覚える。人間もそうだが何であろうとライバルが居ないとそこに胡坐をかいてしまい、進歩はとまってしまう。
ビデオカメラ業界は、多くのメーカーが撤退してしまい現在は、わずか4社になってしまった。これは、業界としてはもちろん皆さんにとっても非常に悪いことである。選ぶことが出来ないということは、各々の意思に反してそのものを買わざるえない状況になり、ひいては皆さんの意思が無くなってくると言うことにもつながる。 現在はインターネットで容易に商品の検索が出来るため現場で比べなくても自宅である程度内容がわかってしまう。そしてどことは言わないが商品の口コミ等でユーザーを先導して、現場で実際使って確認しないで商品を購入してしまう。ホームページを公開している身で申し訳が無いがインターネットの情報を鵜呑みにしないで現場で実際比べて確認して納得して購入してもらうのが管理人の願いである。
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