別名　 銀杏城
遺構　現存櫓・門・塀、石垣、堀
城の種別　梯郭式平山城
所在地　熊本県熊本市

熊本城ホームページ

　 現在の熊本市本丸、二の丸、宮内、古城、古京町、千葉城町に当たる一帯を縄張りとした城で安土桃山時代末期から江戸時代初期にかけて加藤清正がこれを取り込み、現在のような姿の熊本城を築いた。
　もともと文明年間（1469年-1487年）に肥後守護菊池氏の一族・出田秀信が千葉城（ちばじょう、現在の千葉城町）を築いたのが始まりである。出田氏が衰えると菊池氏は、鹿子木親員に隈本城（くまもとじょう、現在の古城町）を築かせて入れた。この後、菊池氏の家臣等が入城したが1587年（天正15年）、豊臣秀吉の九州征伐の後に秀吉によって織田信長の重臣であった佐々成政を隈本城に入れる。
　しかし成政は、入城後すぐに検地を強行し、肥後国衆一揆を引き起こす。成政は、一連の不手際で切腹を命じられ、加藤清正が肥後北半国19万5000石の領主となり隈本城に入った。
　清正は、1591年（天正19年）から城郭を築きはじめる。関ヶ原の戦い後の論功行賞にて肥後一国52万石に加増されると新たに城の増改築をはじめ、1606年（慶長11年）には城の完成を祝い、翌年「隈本」を「熊本」と改めた。これが現在の熊本城である。
　1632年（寛永9年）、清正の子・加藤忠広の改易により豊前小倉城主だった細川忠利が肥後54万石の領主となり熊本城に入った。以後細川氏が江戸期を通じてこの地を治めた。
　明治維新にて破却される予定であったが工事寸前で解体の方針は凍結される。西南戦争では政府軍の重要拠点であると同時に西郷軍の重要攻略目標となる。激しい攻防が行われたが、熊本城は、4000人の籠城で、西郷軍14000人の攻撃に耐え、ついに撃退に成功した。この時西郷軍は、誰一人として城内に侵入することができなかったといわれる。
　1960年（昭和35年）の熊本国体開催と築城350年を期に、熊本市は一般からの寄付も募り1億8000万円の費用をかけ外観復元で大小天守と平櫓、塀などを再建し、本丸一帯を公園として整備し入場を有料化した。
　2007年（平成19年）築城400年に際して、本丸御殿をはじめ、西出丸の塀、戌亥櫓、元太鼓櫓、奉行丸の塀、未申櫓、南大手門などの建造物を数年かけて復元された。今だに復元工事中や、工事未着手の建物もいくつかあり、大名の城としては「日本一」であるとの評価が高い。

　この九州旅行にて一番の目的であり、管理人がどうしても見てみたかった城である。当日は、3月にも関わらず雪が降っていたが時間がたつにつれ日差しが戻り、ほっとした覚えがある。
　管理人は、時代小説を多く読んでいるがこの城が出てくる小説は、全てが全て共通した認識で登場する。「実戦の城」これである。江戸時代に築城された城がほぼ全て「魅せる城」であったのに対して熊本城は異質である。
　実際訪れてみてそれが実感できた。圧倒されるのは、清正独特の石垣の工法である武者返しである(始め緩やかな勾配のものが上部に行くにしたがって垂直に近くなる)。この難攻不落な石垣の上に建造物がそびえ立つ姿は圧巻でる。
　天守の規模は当然であるが驚かされるのは、櫓(やぐら)の大きさである。熊本城は、非常に多くの櫓に守られているが中でも五階櫓は、3重5階の三重櫓であり通常の城の天守と同規模の物である。これが往時には現存する宇土櫓をあわせて6基の五階櫓があったとされる。
　熊本城は、宇土櫓を含め13棟の遺構は現存し、それぞれ国の重要文化財に指定されており、今もなお復元作業が進んでいる。江戸時代を通じて大半を細川氏が統治したにも関わらず西南戦争時、天守が焼失する様を地元の人は「清正公（せいしょこ）さんの城が燃えている…」と悲しんだといわれ、今もなお熊本城＝加藤清正である。
　管理人は、姫路城をはじめ多くの城を見てきたがこれほど威圧感がある城は、はじめてである。個人的に管理人は、熊本城は豊臣秀頼のために建造された城と考えているが城を見てからその思いが強くなった。熊本城を日本一の城だと管理人は思う。