前田利益
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略歴
天文2年(1533年)滝川一族に生まれる。(生年、出生地、実父は諸説あり確実な説が定まっていない)
利益の実母が尾張荒子城主、前田利久に嫁いだことで利久の弟、安勝の娘婿として利久の養子となる。1567年織田信長の命で利久は隠居させられ荒子を弟である利家に継がせる。
1681年、信長の元で能登国一国を領する大名にまでなった叔父の利家を頼り仕える。1587年、養父利久が没し、息子正虎が利家に仕えうようになり、1590年利益は、妻と子を残し前田家を出没する。
出没後は、京都で浪人生活をしながら多数の文人と交流を持ったと言われる。上杉家が会津に移封された1598年から、関ヶ原の戦い
が起こる1600年の間に上杉家に仕官する。1605年から1612年の間に没。(生年、没年等確かな記録は、不明である)
前田利益とは
慶次と言った方が馴染みがあるであろう。織田信長の重臣である滝川一益の一族で、一益に近い親族であると言われる。
前田利久が妻の連れ子だろうと婿とした(次期城主)事から、若いながら立派な男であっただろうと推測する。
安住の地を得た利益だったが織田信長が利久を隠居させ、利久の弟、利家に荒子領を継がせたことにより転機が起こる。利家は、若い頃から信長に使え、
信長に非常に気に入られていたのでこのような事が起こったと言われる。
利久、利益親子は、利家の家臣となるのを嫌い、浪人となった。この時の、利益の織田信長そして利家に対する怒りは、どれほどのものだったのだろう。
この時期から利家に仕官するまでの約13年間、どこで何をしていたが確実にはわかっていないが信長の下で重臣になっていた滝川一益配下の実父と共に居たというのが
一番自然であると思う。
後に利家の配下の時、上杉家臣時に武勇で並ぶものがなしと言われたと言うがこの時、一益と共に戦の実践で磨かれていったのだろう。1581年に利家の家臣となったのだが
利益の意思ではなく、老齢になった利久と妻の強い勧めであったと思われる。
利家の配下となってからも持ち前の武勇と利家の兄の養子という事で待遇は良かったようである。ただ養父利久が没したのを合図に歯止めがなくなった利益は、
息子に家督を譲り出没する。この時、利家に冷風呂に入れてそのまま出没したといわれるが息子が全く咎めを受けていないので本当のことか難しいところである。
京都で浪人となった利益だが連歌、茶道、文学を満喫していたようである。この時期、秀吉に天下御免を許され、上杉家の家老、直江兼続と親交をもったようである。
上杉家に仕官をし、関が原の戦いの長谷堂城の戦いにて獅子奮迅の活躍をしたようである。
その後、一旦は浪人になって京都に戻ったが再び上杉家に仕官をし、その時に伏見から米沢までの道中を書いた「前田慶次道中日記」が現存しており、この内容から利益は、
かなりの文才があり、当代一級の文化人であったことがわかる。
この後は、全くの記録がなくどこでいつ没したのかも詳しくは、わかっていない。
総評
前田慶次利益は、謎が多い人物である。確実にわかっている事は、前田利久の養子であったことから前田利家の甥で数々の戦いの手柄から武勇に秀で、「前田慶次道中日記」の内容から
かなりの高い教養を持った文武両道の士であったことくらいである。
漫画「花の慶次」があまりにも有名であり、この漫画の主人公通りの人だったと勘違いされるがこの人についてわかっていることは、上に書いたくらいなのである。ただ全く資料が無いに等しい人物だけに
想像力をかきたてられる魅力がある人物である。
次期城主の地位から信長の一声で浪人になり、養父と妻子を連れ長い間浪人をしていることから高い実力はさることながら、尋常でない精神力がないとできないことである。
浪人生活を味あわせた張本人である利家に、再び仕える悔しさは、どれほどか想像は簡単である。養父が没した事で全て荷がおりたのだろう。この時から、全ての自分をさらけ出すことができるようになり、
魅力を増したように思う。実際の本人は、資料が少ないため推測は、難しいが豪快で文武に秀でた侍であって欲しいと思う。
管理人おすすめの本
一夢庵風流記 隆慶一郎(著)
話題の漫画「花の慶次」の原作である。前田慶次郎利益が能登の国主であり叔父でもある、前田利家に仕えて後描いた小説である。
隆慶一郎の物語を創造する能力、人を引き付ける書き方の高さがよくわかる小説である。隆慶一郎は、テレビ脚本家として数々の功績を残している。
その人物が前田利益という謎が多く資料も極めて少ない武将を書くことによって人々に名も無い武将を注目させた、隆慶一郎しか書けなかったように思う。
隆慶一郎の小説の主人公は、誰もが知る人物でないことが多い。ただ彼の手にかかればその人物の魅力を最大限に引き出させてしまう。
彼の数年という作家生活の短さがもったいない、そんな隆慶一郎の代表作であると思う。
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