土方歳三
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略歴
天保6年5月5日(1835年5月31日)、武蔵国多摩郡石田(いしだ)村(現在の東京都日野市石田)に生まれる。
諸説あるが10代前半から20代半ばまで奉公にでる。その後は実家秘伝の「石田散薬」を行商しつつ各地の道場で他流試合を重ね修業を積んだと言われる。
この時、天然理心流4代目の近藤勇(後の新選組局長)と出会い、天然理心流に入門する。
1863年、近藤道場(試衛館)の仲間とともに将軍家茂警護の為、浪士組の一員として京都に上る。1863年8月18日、新撰組発足。後新撰組副長となる。
1868年、戊辰戦争が勃発し、幕府軍として参戦。1869年、新政府軍の箱館総攻撃の戦にて戦死、享年35歳。
土方歳三とは
歳三は、多摩の豪農の末っ子である(6人兄弟もしくは、10人兄弟)。姉のぶは、日野宿の名主佐藤彦五郎に嫁いでおり歳三は、姉にかわいがられていた関係で彦五郎の屋敷にも出入りしていた。
これから考えても歳三は恵まれた環境で育ったといえる。
歳三は、幼い頃から利発で何でも器用にこなせたといわれる。歳三は、晩年の写真が残っており端正な顔立ちをしている。その歳三の転機は、天然理心流の近藤勇(後の新撰組局長)との出会いといえる。
歳三は、それまで行商などをしながら見よう見まねの自己流で剣術を磨いていたと言うが近藤の前では何もできなかったようである(近藤は、田舎流派といえども宗家の養子となった人物なので当然ではあるが・・・)
天然理心流に入門した歳三は、持ち前の素質で頭角を現し、近藤の片腕と同時に近藤の同年代の親友になったのも容易に想像がつく。
近藤の人物もすばらしかったと思うが近藤道場は実力者がどんどん集まってきたようである。その中には、江戸の三大道場の免許持ちもいたことから歳三の人をまとめあげる才能を伸ばした時期であると考える。
世の中は、再び戦乱に突入しようとしている時で将軍警護の名の下に京都に上れるという話は、剣術で生きていこうと考えた若者にとって絶好の機会であったように思える。京都に上ってから京都守護職お預かりとして
「新撰組」が発足する。
近藤が局長、歳三は副長となり新撰組は、最大の時期で150人を超える大所帯になる。新撰組は、簡単に言えば京都の警察である。しかも当時の京都は、幕府側と維新側の対決の中心で刀での闘争が日常茶飯事であった。
そこの預かる新撰組は、ほぼ全員腕に自身のある暴れ者揃いの集まりで歳三は、近藤を長と仰ぎながら一人で新撰組を切り盛りしていたとされる。歳三の統率力の高さが容易に伺える。
将軍が大政奉還をした後に戊辰戦争(著)に突入し歳三は、幕府軍として各地を転戦する。勘の鋭い歳三なのでかなり早い段階で幕府軍が敗戦するのは、容易にわかったのではないかと思う。
歳三の経験に裏打ちされた軍才はすばらしく、歳三の部隊は連戦連勝したといわれる。幕府軍は、北海道で蝦夷共和国を作り、抵抗するが追い詰められ最後は降伏する。
歳三は、陸軍奉行並という役職にいたが降伏に反対し、自分の部隊を連れ、新政府軍に突入し流れ弾に当たって死去したといわれる。
総評
土方歳三の人気は、かなり高い。僕は、土方歳三は、近藤を大名とし軍師を兼務する家老であったと思う。実際、歳三の夢は近藤を大名とすることであったといわれる。
歳三の育った多摩地方は、天領(徳川家の直領)で俺達は、将軍様の民だと言う心境が強かった場所であり、歳三の心中は、筋金入りの幕府側であったと思う。
歳三は、剣の腕もかなり強かったと言われるが魅力は、歳三の統率力であると思う。はじめ新撰組は、三人の組長を長としていたが歳三が主導して2人を暗殺したと言われる。
そして近藤を絶対君主として仰ぐ新撰組を作ろうとしたのだろう。
歳三がすごい所は、悪人になりきったことである。近藤から指示を仰ぐのではなく、全て自分が部下に指示を下す。近藤は、頂点としてどっしり構えていなくてはいけない。
全て悪いのは、自分だと思わせないといけないとの信念がはっきりみてとれる。
歳三は、一人で新撰組=近藤王国を作り上げていったのである。それは、歳三の高い統率力、判断力、器の大きさができる賜物であった。
近藤が将軍御目見得以上の格に取り立てられたことにより歳三の苦労は、むくわれたことだろう。
程なくして戊辰戦争が起こり、新撰組は高い戦闘力を発揮する。しかそんな中、近藤は捉えられ打ち首になってしまう。僕は、ここで歳三も死んだのではないかと思う。
それからの歳三は、生まれ持った幕府命の精神を支えに死ぬための戦いを続けたのではないか。
実際、晩年の歳三は、京都に居た頃の「鬼の副長」ではなく、部下を慈しみ、思慮深い指導者になっていたようである。死ぬための戦をしている歳三にとって降伏は、
耐えられなかったであろう。歳三は、無謀な突入によって激動の人生を自ら終わらせたのだと思う。
管理人おすすめの本
燃えよ剣 司馬遼太郎(著)
僕が高校の時購入した小説で新撰組関係の本では、群を抜いていると思う。この本を読んでから新撰組関連の本は、50冊以上は読んだがそれは変わってはいない。
司馬遼太郎の小説もほぼ全部に近いくらい読んだが司馬遼太郎の中でもかなり上位である。土方歳三のほぼ全生涯を描いた小説である。
僕の土方歳三像はこの本がベースになっている。土方の軍師としての才能、人間としての魅力をメインに書いた小説である。
上下全2巻であり、読書が好きな人なら1日で読めてしまうため、新撰組を知っている人はもちろん、知らない人は、これを機会に土方歳三及び新撰組の魅力を知ってもらいたい。
燃えよ剣〈上〉 (新潮文庫)
燃えよ剣〈下〉 (新潮文庫)
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